未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

彼女が彼女たる由縁
某所のスレが元気良く進んでいて大変驚きました。
そして投稿されてる小説は皆クオリティの高いの何の。
いやあ、才能があるっていいですね。


以下、久しぶりのお話。出てくるのは姫様。
微妙に拍手まとめから続いてるのかもしれません。




魔法の森の中心部にありながらもひっそりと営業する香霖堂。
店主の僕は、今日はお昼寝中。だが惰眠をむさぼらせてくれるほど幻想郷は甘くない。

「こんにちは~こんにちは、竹林の~奥から~♪」
さっそく、不思議なリズムを口ずさみながら竹薮の姫が現れた。
毎度のことながら理解に苦しむので、対策として僕は理解することをやめ、
馬鹿正直に尋ねることから会話を開始することにしている。

「……君か。何なんだい、その歌は」
「どこかの博覧会の歌の替え歌よ。何となく思い出しちゃって」
「いい曲だ。歌詞については言及しないが」
「あら、ありがと」

眠い目を擦り、眼鏡をかけて立ち上がる。輝夜は相変わらず和洋折衷な格好だ。
もっとも、冷めたコーヒーを湯のみで飲む僕も人のことは言えないが。

「それにしても、よく気がついたわね。足音立てないように店に入ったのに」
つまらないわ、と壁にもたれかかりながら髪の毛を弄っている輝夜が聞いてくる。
「今でこそ来ないが、以前はうっかり気を抜くと獣が入り込んだりしたからね」
「じゃ、次は丑三つ時に来るわ」
「来ないでくれ」

にべもない、と言う事なかれ。こう言っても現れるのが姫様だ。
別に何をすることもなく部屋でうだうだしていくだけなのが、また謎めいている。
娯楽なら永遠亭や竹林の方があるだろうと思うのだが、どうやら違うらしい。
ここにある道具に執心かとも疑ったが、そうでもないようでつかみ所が無い。
つまり、彼女もまた知り合って後悔する方の手合いだったというわけだ。

「ね、ちょっと遊びに行かない?神社とか湖とか」
「営業中という看板が目に入らなかったようだね」
「入ったわよ。どうでもいいから無視したけど」

するなよ、と内心で反論しておいて僕は立ち上がった。
出かけるためではない。空気を入れ替えるためだ。
僕の名前の持つ力もあってか、店は気付くと空気が淀んでしまう。
色々と対策は打ってあるのだが物事の本質が概ねそうであるように、
あれこれと八卦だの風水だのを用いる前に、単純に窓を開けたほうが早い。

「いい事を教えてあげましょう」
「謹んで辞退していいかい?」

髪の毛を弄るのをやめた輝夜が僕に近寄って囁いてくる。
香でも焚いたのか、何ともいえない不思議な香りがかすかに鼻をくすぐった。

「却下。私って、永遠を操ることが出来るのよ」
「左様でございますか。怖い怖い。饅頭と茶も怖い」

距離をとる。特に探すものも無いのだが何かを探しているフリだ。
だが、ふと目の前の帳簿を取ろうとして奇妙な感覚に襲われた。
いくら手を伸ばしても届かない。前に進んでも距離は縮まる気配が無い。

そこに、いつの間にやら距離をつめた輝夜の手が僕の袂に触れた。
そのまま腕を絡めて顔を寄せてくる。ハッキリいって、嬉しくも何とも無い。

「だから、永遠に辿り着けない店って面白いと思わない?」
「思えないし思いたくも無い。まったく、営業妨害もいいところだ」
「じゃ、出かけましょ?神社よりは湖がいいわ」

僕としても知り合いに会わない可能性が高いだけ、そちらの方がありがたい。

結局、目論見どおり誰とも会うことなく湖までやってきた。
別に喋ることも無いので互いに黙っていたが、何故か輝夜は満足げである。
どれくらい黙っていたのかというと、ようやく口を開いて出た言葉が
「それじゃあ、私はお夕飯があるから帰るわね」
などというところからお察しというところだ。


何故にこのようなことをするのか、と僕は聞いてみたことがある。
すると輝夜は当然のように言ってのけた。
「そうしたいからよ。私は、私のやりたいようにするの」

なるほど、つくづくお姫様なのだ、と僕は思った。



そして――

「おい、香霖。昨日のアレは何だ?」
「霖之助さん、大丈夫?」

――巻き込まれる方はたまったものではない、とも、僕は思った。



続くか続かないか。

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://ponkotsutanuki.blog4.fc2.com/tb.php/98-4c847390
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ぽんこつたぬき

Author:ぽんこつたぬき
春が来たら冬眠から覚める獣。
リンク、転載は許可無しでも可。

小説っぽい何かが読みたい人は
東方タグを押すと楽です。

twitter -> ponkotsutanuki



最近の記事



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ありがたい来客者



ブログ内検索



RSSフィード



素晴らしいリンク先

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。