未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

とりあえず続いたようです


館に勤めだしてから、何だかんだで3日が過ぎていた。

「片付けはこのくらいにしましょう。続いて書架の整理です」
「はぁ。まぁ、やれないこともない……ことはないです。無理ですって、この量」
「よろしくお願いしますね。ああ頼りになるわー」

僕は地獄にいた。


最初は自分のようなものが呼ばれるくらいなので
いかなる惨状が待ち受けているのかと身構えていくと、見た目は何も変わらない
いつもどおりの紅魔館があった。

もちろん何もなかったというわけではなく、ひとたび室内に入ればそこは嵐の後だった。
だが僕が見る限り、僕が必要な状況というのは想像ができなかった。
人手は必要だろうが、十分な数のメイドはいるように見受けられた。

「よろしくお願いします」
挨拶をしてみる。
「?」
わけがわからないという顔をされた。
「……よろしくお願いします」
もう1人に挨拶をしてみる。
「きゃはははは!」
なぜか爆笑された。
「よろしくお願いし……」
さらにもう1人に挨拶をしてみようとしたら、物陰に隠れられた。

「さっそく辞めていいかい?」
「……言ったでしょう?人手が足りてないって」
「その、意思の疎通はどうやって?」
「気合よ」

さらっと言ってのけるメイド長だが、その目には光るものがあった。
つまり彼女らは、僕だけではなくメイド長にすら同じような反応を返すのだろう。
紅魔館は、指示通りに動いてくれる人材を要求していたのだ。

妖精メイドらの名誉にかけて言っておくが、中にはきちんと話を理解してくれる者もいる。
だが、そうでない者も少なからずいるのが問題というわけだ。

「あ、店主さーん」
「おや、紅美鈴さん。今日はメイド服ですか?新鮮ですね」
「あはは。お屋敷の中の手伝いをするので普段のアレはダメだそうです」

門番まで駆り出すとは、人手が足りていないらしいのがよくわかる。


「手伝ってー」
「……ああ、すいません。ちょっと量が多すぎて思わず現実逃避を」
「えーと……誰?」
「森近霖之助です。本業は古道具屋で、最近の人手不足解消の為の手伝いですよ」
「うーん。最近、目が悪くなったのかしら。男の人に見える……」
「自称男です」
「本性は獣ね」
「惜しいですね。半妖です」

この人は書庫の主。動かない大図書館ことパチュリー・ノーレッジだ。
手伝いというが、ほぼ僕が作業をしている。
最初は黙々と作業していたが、あまりに単調な作業なので退屈極まる。
それをしのぐために、店で起こった他愛も無い出来事を話しながら仕事続けた。
普段はそんなことはやらないのだが、今は状況が状況だ。
正直なところ、話し相手に飢えていたというのもある。

「古道具屋って何を売ってるのかしら」
「とりとめなく色々ですね。小物やら、わけのわからないものやら」
「そんなお店を営業する貴方がわけがわからないわ」

最初はオール無視かと覚悟していたが、その逆で反応は良かった。
やはり魔法使いなので色々なものに興味を持つらしい。
だが話しながらも手は動かさないと終わらないので、互いに作業を進めていく。
本の一冊一冊も無造作に放り込むのではなく、粘り強く整頓して並べていく。

「……さて、手の届く範囲はずいぶんと片付いたような」
「実は、まだ奥のほうが」

申し訳なさそうにする図書館の主。それにしても広い空間に膨大なコレクションだ。
崩れていない場所が大多数なのは蔵書の量が多かったからか、広かったからか。

「しかし、なんでまたこうも派手に」
「このあたりは、咲夜の能力で広がった空間だから」
「ひょっとして今回は、その広がった空間のあたりがダメになったんですか」

聞けば館の主には妹君がいて、たいそう強烈な力を持っているらしい。
その妹様が退屈しのぎに咲夜へ弾幕ごっこをしかけたのが今回の発端だとか。

「だけど、そのうち飽きたのか、外に出たいだとかワガママ言い出しちゃって」
結果、なだめるために空間の大多数が犠牲になったということだ。
「妹様の行動力は最近どんどん活発になって……ぅ」

そこまで言って動かない大図書館が、ふらりと倒れそうになった。
すわ何事かと僕は受け止める。

「むきゅー……」

何とか派手に倒れずには済んだようだが、顔色は決して良く無い。
このままではいけないと、手近な椅子にお姫様抱っこのような形で運んであげた。

「あ………」
「リストをお借りしますので、そこでゆっくり休んでください」

蔵書が心配で無理をしたのだろう、と思うと彼女を責める気にはならない。
むしろその本に対する姿勢に僕は好感をもった。道具を大事にする者は、良い。
何かいいたげにチラチラとこちらをうかがっているが何も答えず、ただ僕は仕事をした。

帰り際にはずいぶんよくなったようで、ありがとうとお礼まで言われてしまった。

「これが仕事ですし、礼には及びません。お役に立てれば幸いですよ」

僕は愛想笑いは苦手だが、今回は本心の笑顔が自然と出てきた。
よくよく考えれば後で彼女には世話になるのだ。今までが無礼すぎるくらいだろう。

しかし、彼女はつくづく体が弱いらしい。
貧血で真っ青になったと思ったら今度はほんのり頬を朱に染めていた。
今度何か血行がよくなるお茶でも探しておこうかな、と思う。





「パチュリー様、何かあったのですか?」
「ひ、久しぶりに動いたから調子が悪いのよ。それだけ」

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://ponkotsutanuki.blog4.fc2.com/tb.php/94-50948e79
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ぽんこつたぬき

Author:ぽんこつたぬき
春が来たら冬眠から覚める獣。
リンク、転載は許可無しでも可。

小説っぽい何かが読みたい人は
東方タグを押すと楽です。

twitter -> ponkotsutanuki



最近の記事



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ありがたい来客者



ブログ内検索



RSSフィード



素晴らしいリンク先

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。