未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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続きそうで続かない気がする

梅雨時とは思えないような青空。だが空気はどこか冷たく、夏というよりは五月の空気。
虫が鳴くには温度が足らず、コケがむすには湿度の足りない何とも微妙な気温の日。

「いらっしゃいませ」
軽快な音を立てて開いた扉の先に、本を読む店主がいる程度の香霖堂。
店主の僕は店を構えるくらいには商売っ気を持ち合わせているつもりだ。
……が、どうも他人にはそう見えないらしい。

「こんにちは、店主さん」

そんな声もあるが、この紅魔館のメイド長は僕のことをそうは見ない、数少ない客だ。
念のために背後の方を伺うが、今日はお嬢様の様子は見えない。
もっともいたところで僕が尋ねることなんて、そう変わらないのだけど。

「おや、こんにちは。本日は何をお探しで?」

おや、などと口にせずとも認識している。だがこれは間を作り出すために必要な言葉。
間、すなわち時間とは距離に等しい。距離をいきなり詰められてはいい気はしないだろう。

「ちょっと人手を。店主さんは、館でバイトをするつもりは無いかしら?」
「はい?」

疑問文に対して疑問で返す。試験なら落第だろう返答をした後、時が止まった。
いや、メイドの持つ懐中時計の仕業ではなくあくまで比喩的な表現によるものだが。

「ごめんなさい。変な話だとは思うんですが、何ぶん『人手』が足らなくて」
「……話だけでも伺いますよ」

聞けば妹君が派手に暴れまわった上に地震雷火事、と災厄のオンパレードだったらしい。
普段は妖精メイドなどで手が足りるのだが、今回は中々そうもいかない、との事だった。

「給金がわりに書庫の一部閲覧を、と思っているのですがいかがですか?」

上手い提案だと言わざるを得ない。
僕は今、さぞ『興味があります』という顔をしているだろう。
それを見越してかメイド長は話を続ける。

「悪い話では無いと思いますよ?その間の食事や服は無償で貸し出しますし……
 やってもらうことも複雑な仕事ではなく単純な仕事です……ダメですか?」

メイド長である十六夜咲夜は、上目遣いでこちらを見つめてくる。
里の健全な男性ならイチコロなのであろうが、こちらは不健康筆頭の半人半妖だ。
枯れ果てた川に小雨が降ったところで流れが戻るわけではない。いや、話がそれたか。

「……期間は?」
「1週間から半月です。それ以降までかかるようならまた考え直します」

気がついたら彼女は両手で僕の手をそっと包み込んでいた。
いつの間に、と疑問に思ったが、僕はそれを尋ねず愛想笑いを返す。

ところで断る理由が無いので請け負った僕を誰が責められるというのだろう?
たぶん、誰もいないんじゃないかと思う。

この記事に対するコメント
こんにちは
こんにちは(^^)。
立ち寄り軌跡を残しておきます。

【2008/06/18 10:33】 URL | わんだ #- [ 編集]


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