未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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花言葉「貴方だけを見つめている」


「あら店主さん、今日は珍しく土いじり?」
「空き地を有効利用してやってたんだが、どうにも手狭になってね」

霖之助が畑を弄っている時にやってきた少女は風見幽香。
日傘を差して立つ風貌は良家の令嬢ようではあるが、正真正銘、アクティブな妖怪である。
対する霖之助のいでたちといえば、作業着と普段着を足して二で割ったようなものだ。
クワを手にせっせと地面を掘り起こす様は、何とも普段の彼にはそぐわない。

「てっきり今日もコケのようにじっとしながら読書に勤しんでいると思ったのに」
「それで生きていけたら幸せなんだけど、ね」

それっきり霖之助は作業に没頭し、ある程度を耕してようやく手を止めた。
手拭で汗をぬぐい、クワを壁に立てかけて店に入る。

「いっそ農家にでもなれば?あ、私にもお茶」
「謹んで辞退しておくよ」

霖之助は別段嫌な顔もせず、二つの湯飲みを持ってきて一息ついた。
当然のように幽香もお茶を飲んでいる。熱いので、冷めるのを待っているようだが。

「霖之助。あの畑、何を植えるの?」
「特に決まって無い。種は幾つかあるんだけど……ああ、花でもいいか」
「あら、いいわね。食べられないどころか、貴方を食べる花なんかもあるわよ」

面白いと思わない?と屈託のない表情で笑う幽香。
霖之助も、食べられるのは勘弁願いたいな、と笑って返した。

「ヒマワリがいいな」

霖之助は青空を眺めながら、ぬるくなったお茶を流し込み、そう言った。

「夏にはまだ早すぎると思うけど」
「それでも、何となくヒマワリがいいんだよ」
「じゃ、そうしておいてあげる」

適当な野菜とは別に生やすことにして、二人はまた出来たばかりの畑に戻る。
幽香はその力で、あれよあれよという間に発芽させて葉を開かせた。

「そこまで」
「あら、花はいいの?」

不思議そうに首をかしげて尋ねる。霖之助は、頷いた。

「咲くのを見届けたいんだ」
「……そ。よくわかんないけど、そうしたいならそうするといいわ」

貴方の畑なんだしね、と言って、二人で畑を眺める。
そしてふと、幽香はどうしても理解できないといった様子で霖之助に尋ねた。

「どうしてヒマワリなの?」

他にもいろんな花があるじゃない、と尋ねる。
すると霖之助の答えは

「君に似てるからさ」

というものだった。

幽香は、バカみたい、と鼻で笑ったが、まんざらでもなさそうだったという。
そんなある日の幻想郷のお話。

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