未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

客と、それ以上の間

たとえ閑古鳥がローレライのごとく優雅な声で鳴こうとも、香霖堂は営業中。

とはいえ今は、アリスが香霖堂に買い物にやってきている。

「店主さん、何か良い糸は入ってる?この前の透き通った繊維みたいな」
「生憎と普通の糸しか無いね」
「それじゃ人形の服は?マジックアイテムのアクセサリ類なんかでもいいけど」

アリスは幾つかリクエストを並べ立てるが、霖之助はよい返事ができない。
なにぶん店の品は多くが一点もの。加えて不定期に入荷するので、無いことが普通なのだ。
そのあたりはアリスも心得たもので、別に無いと言われてもドライな返事する。

「ま、仕方ないわよね」
「君は数少ないウチを贔屓にしてくれる客だし、なるべく要望には答えたい所だけど」
「期待してるわ。また来るわね」

「さて」
アリスが帰ると、霖之助は期待に答えるべく重たい腰を上げた。
無縁塚の確認をして、それでもダメなら人里から小物を仕入れて魔力を付与する算段だ。
結局その日、霖之助は人里で装飾品の類を幾つか仕入れて変える形になったが。


翌日、霖之助は黙々と作業に没頭して、それなりの道具を作り出すことに成功した。
もちろんアリスの要望……つまり、お人形の材料……に応えるためだ。
霖之助にとって彼女の人形は、独特の設計思想が現れていて大変に興味を持っている。
その一助となれば幸いであるというのが、霖之助が行動する動機だった。


「こんにちは……」
「やあ、いらっしゃ……何かあったのかい?」

それから何日かが過ぎて、アリスが再び香霖堂を訪れた。
霖之助は、彼女がどこか気落ちしていることを見抜くことができた。
声の調子や顔色などで一目瞭然ではあったが。

「あ……やだ。そういうの、表に出ちゃってる?」
「自分で言うのもなんだけど、僕が見てわかるくらいだ。相当のものだよ」
「そう、なの」

苦笑するアリスを見るに見かねて、霖之助はそうなった原因を尋ねることにした。
落ち込んだままの人を見て無視できるほど、霖之助は冷淡ではない。

「……人形の糸がね。切れちゃって」
「なるほど……ただ切れたわけじゃなさそうだけど」
「ええ。代わりの糸で直してみたの。だけど、すぐにまた切れちゃって」

どうしてこうなるのかわからない、とため息をついて突っ伏してしまう。

「その人形、見せてもらってもいいかい?」
「え?ええ……」
「門外漢だけど、僕なりに力になれるかもしれないからね。じゃあ行こう」
「へ、お店は?」

きょとんとするアリスに、霖之助はニヤリと笑って答えた。

「思い立ったが吉日。善は急げだ……ああ、もちろん都合が悪ければ日は改めますが」
「えっと、そう、そうね。一刻を過ぎたら来て。道は上海人形に案内させるわ」

アリスはこういうところは魔理沙に似てるのね、などと妙な関心をしていた。
それから、ほんの少し店に来る前よりも気持ちが楽になった気がして
来てよかったと素直に思った。


香霖堂。
それは、時と場合によってはやけに活発になる店主が経営する古道具屋である。

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://ponkotsutanuki.blog4.fc2.com/tb.php/81-553f4a12
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ぽんこつたぬき

Author:ぽんこつたぬき
春が来たら冬眠から覚める獣。
リンク、転載は許可無しでも可。

小説っぽい何かが読みたい人は
東方タグを押すと楽です。

twitter -> ponkotsutanuki



最近の記事



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ありがたい来客者



ブログ内検索



RSSフィード



素晴らしいリンク先

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。