未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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試しに祈ってみたけれど
「おい、半分」
「開口一番、のっけから失礼な。どちらさまだ?」
「神様よ」

分社を作らせて欲しい、という要望があったので、神棚でよければと応じた霖之助。
頼んできたのは少し前に幻想郷にやってきた、新しい神社の巫女だという。
霊夢に比べていくらか物静かで、何か今までの面々ともまた違った感じのする少女。
名を東風谷早苗といった。

頼みを受け入れてこしらえたのが今の神棚で、古臭い店内にはそぐわぬ新しさ。
その一画だけは、古ぼけた香霖堂の中で浮いて見えていた。

自身は信仰らしい信仰を持たぬゆえに形骸化してはいるが、所定の作法で祈りを捧げる。
特に願掛けするわけではなく、あくまでも神に対する社交辞令のようなものだ。

「貴様の態度が気に食わん」
「左様でございますか」

神曰く、そういうことらしい。霖之助は、だからどうしたんだと言いたげな表情をした。

「なんだその顔は」
「いやなに、唐突に現れてそりゃないでしょう、というわけですよ」
「心当たりがないと?祈るだけ祈っておいて願いが無いというのは酷いだろう」

言いがかりだ、と霖之助は思うが、どうも話を聞くと妖怪の信仰は無いと思ってたので
たいそう驚いたようである。
そんな風変わりな妖怪なら是非とも会ってみようと思ったが、
よく確かめれば願いが無い。神をひやかすものではないと怒りに来たらしい。

「そんなこと言われても」
「まったく、神を何だと思っているのやら」
「さてね。半分は人間なんで、半人也には信仰してますよ」
「無礼千万な奴だね。少し神の力を思い知るといい!」

なにやら不穏な気配がするので霖之助は、これはたまらないと思った。
せいぜい機嫌を直してもらって丁重にお引取り願わないと、身の危険を感じたのだ。

「ここに黄身時雨がありますので、どうぞこれをお茶請けに一服してください」
「何?食い物で誤魔化せるとでも思ったか?」
「おや、お供え物のつもりでしたが」

そういわれると弱いのが神らしく、何とかオンバシラの飛来は免れたらしい。
静かにお茶を飲む神。何ともシュールだ。

「あまり暴れると神棚が神隠しにあうかもしれませんよ。具体的には、かまどとかに」

湯飲みを持つ手が止まり、霖之助を神が睨みつける。

「早苗さんは悲しむだろうなあ。まさか神自身が暴れまわってるんじゃな……」
「うっ」
「まあ、願いならあるんだけど ささやか過ぎて
 申し奉るまでもないと思っただけなんですがね」

霖之助も自分のお茶を飲んだ。苦い。
黄身時雨を口に放り込もうとする、が既に食い尽くされていて、神を呪いそうになる。

「何かあったら気軽に言いなさいな。今日び、フランクな神の方が受けるようだから」
「神が受けを気にするようじゃ、世も末ですね」
「だからこそ、私たちの世が終わる前にここへ来たのよ」

霖之助は遠い目をする神に、少しは信仰してあげようと思うった。

神の名が、八坂神奈子だと判るのは、それから数日後のことである。
名前も知らず奉るなと、そのときはそのときで怒られるのだが、それは別の話。

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