未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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その情熱は温度を伴って
久しぶりに時間がとれたので、リクエストに答えてみました。
妹紅と霖之助、とのことでしたので、そういうことで。



「なあ霖之助や。お前、最近は儲かってるのかい?」

熱心にそろばんを弾かずに済む程度の儲けである森近霖之助が、藤原妹紅に
そんなことを言われたのは、1ヶ月ぶりに顔をあわせての開口一番である。

「何でまた急に。いやなに、潰れずに済む程度には商ってはおりますが」

ごらんのようにね、という霖之助の卓上には、本の山が積まれていた。
妹紅が店を見渡せば、なるほど、確かに品は減っているようではある。

「で、今日は何の御用で?」

平然としている霖之助に、妹紅は不機嫌そうにつかつかと歩み寄って卓上を叩いた。
湯飲みが一瞬だけ宙に浮かぶが、幸いにも倒れるようなことにはなっていない。

「何の御用?用が無けりゃ来ちゃだめなのか?ええ?」
「いやそんなわけでは」

ずずい、と卓乗り上げて顔を近づけてくる妹紅に、霖之助は気圧される。
近づいた分には足らないが、体を椅子ごと下げて距離をとった。

「一ヶ月前までは竹林とウチに通ってたのに今は姿を見せないから気になったんだよ」
「お陰さまでピンピンしておりますが」
「ほーう?足しげく通っておいていきなり音信不通なのに、お陰様ねぇ」

下がれば下がるほど乗り出してくる妹紅は、もはや卓上によじのぼらんばばかりの勢いだ。
霖之助は遂に進退きわまって、窓の外を眺めてこう答える。

「ああ、もうこんなにも景色がうつろうとは」
「こっちを見ろ霖之助。今更顔を見られてうろたえる仲じゃない」

ついに乗り上げてきた妹紅に霖之助は降参したらしく、本を閉じて向き直った。
目の前には不敵に笑う顔。霖之助は、こういう顔をした相手が危険な事をよく知っている。

「で、こればっかりは本当に判らないんですが、どうして今日はここに?」
「放っておかれるのが我慢なら……ん?その本も、この本も、続き物だな」
「あ、いやその」
「…お前、この本をずっと読んでたな?」
「まあ、なんというか、そうなるような、ならないような。意外と客もあってだね」
「あの女の家から貰ってきたな」
「……はい」

そっと霖之助と妹紅の手が重なり、やさしく本は近くの棚の上に置かれた。
妹紅はもう片方の手で霖之助にしがみつくと、じっとして何も言わなくなった。

「悪かった。悪かったから」
「……。」
「だが、あの本はちょっと冊数が多かったのと訳本なので注釈を参照しないとだね……」
「……熱を持て余して火がつきそうなんだがなあ?」

ぎゅう、とさらに締め付ける力があがる。女の力が侮れないのは霖之助だって百も承知だ。

「判った。せめて文の一つでも送れば良かったと思うよ」
「本を読むのを優先させて私を尋ねるという考えは無いのか。
 そうかそうか。好きなことを優先するか!じゃあ私も好きにさせてもらおうかな!!」

言い訳に失敗した霖之助を見上げる形で、妹紅はにっこりと微笑んで、力を行使した。

――滅罪「正直者の死 -easy-」

「痛い痛い熱い頼むから離れてくれませんか熱い熱い熱い!ごめんなさい!」
「ふん」

その後、あちこちに出かけたりする事で何とか怒りを静める霖之助だった。

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