未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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私が巫女であるために
リクエストに答えてみたシリーズ「ヤンデレ」
……久しぶりに霊夢です。ヤンデレです。なのでイメージと多分に違うと思います。
もっと霊夢はやさしくてかわいいよ!という意見や感想は常時大歓迎です。

そしてアクセス数を見てビックリ。恐るべしリンク効果とイベント効果。

///////////////////////////



「こんにちは、霖之助さん」
「やあ、霊夢。残念ながらお茶は残り少ないよ」
「じゃあ借りていかずに、ここで飲んでしまうわ。ということでお願いね」
「そんな君には二番煎じを注いであげよう」
穏やかな店内。だがお茶を飲む霊夢の表情には明らかな疲労の色が見てとれる。
それを知ってか知らずかの霖之助の対応で、霊夢はずいぶんと癒されたようであった。

「近頃は忙しくって。ふぅ」
文字通り一息をつく霊夢。
霖之助が自分のために出しておいた食べかけの煎餅も、当然のように齧っている。

「いい事じゃないか。巫女が頼られるということは、それだけ信仰が集まるのだし」
「うーん……妖怪がらみじゃなければ、それもいいかなって思うんだけど」
「というと、異変かい?」
「異変っていう程の物でもないあたりがまた微妙なのよね。どうも人里から離れた所を、
好き勝手にうろついてる迷惑な妖怪がいるみたいなのよ」

興味深そうにそれを聞く霖之助は、里から離れたと言われ眼鏡を指で押し上げた。
人里から離れた場所に店を構えている霖之助にとって、それは他人事ではない。

「ふむ。僕にできるのは、普段より早く店を閉めて備えるくらいかな……」
「霖之助さん。気休めでよければ、お手軽な魔除けをしておいてあげるけど?」
「無いよりはよほどありがたい」
「これから紅魔館の方へ向かうから本格的なのは無理なのよね」

珍しくあっちも手伝ってくれるみたいだし、と霊夢が付け加えて立ち上がる。
手際よく札を貼りまじないの文言を唱えていく様は、まさに巫女であった。

「それじゃあ行ってくるわね霖之助さん」
「怪我をしないようにね」
「大丈夫よ。また後で、様子を見にくるわ」
「ああ。それじゃ、いってらっしゃい」




そして、日が暮れた。

「やれやれ。明日には解決していると嬉しいんだけどね」

翌朝にはまた何か違った結果を聞けるだろう、と考えながら
霖之助は日が落ちると早々に雨戸まで閉めて横になっていた。

だが、どれだけかの時がたったあと霖之助は戸をたたく音で目を覚ました。
小刻みにかすかに聞こえていた音は、やがて明確に、強くなっていった。
霖之助は昼間に霊夢から聞いた話から幾つか想像を巡らせて、起き上がる。
そして、ゆっくりと立てかけておいた棒に手をかけ、外に呼びかけた。

「こんな夜分に何の用か知りませんが、日を改めてお越しください」

すると外からギシギシと軋む音が聞こえて霖之助は身構えた。
霖之助が相手の笑い声だと判るのは、横の壁を破って飛び込んできた時であった。
後ろに下がり、相手の攻撃をかわす霖之助ではあるが、いかんせん場所に乏しい。
次第に壁際まで追い詰められてしまう。

「くっ……仕方ない。使いたくなかったが」

霖之助は懐の小刀を妖怪へ投げつけて隙を作ると、寝所へと飛び込んだ。
そして床の間に飾っておいてある刀を抜き放ち、構える。

「こういうのは得意じゃないし柄でもないんだけどね……」

呼吸を整え、背後から追いかけてくる妖怪へ向き直り、そのまま突き立てた。
妖怪は耳障りな声を上げて逃げていく。ただごとではない叫び声だ。

「さすが神器級となれば、ああもなるか。後の手入れが面倒だが……」

直後、妖怪を追ってきた霊夢によって退治され霖之助は事なきをえた。
霖之助を気遣い、無事を喜ぶ霊夢に、霖之助は苦笑しながらお茶を振舞った。
問題は山積していても、生きている限りどうとでもなるのもまた、世の常である。
幻想郷は厳しく、時として残酷で醜いが、どこか暖かい。






……そういうことで、私の巫女としての役目はこれで果たされた。
霖之助さんを狙った妖怪は完璧に退治され、いつも通りの日常に戻る。
ここ以外の場所からゆっくりと、こちら側へと妖怪を誘導したのも
入り口の結界を強固にしておいて、逆に逃げ場を減らしておいたのも
霖之助さんを襲わせて、殺させるために他ならなかった。

これは、私なりの平坦化の方法。死んでしまえば記憶だけの存在になる。
博麗の巫女は誰かに価値をつけるような事は許されない。
だけど一人の女の子としても、博麗の巫女としても、霖之助さんの存在は
時間が経てばたつほど大きくなっていってしまう。
『巫女』の無慈悲さと『私』の曖昧さを、霖之助さんは受け入れてくれる。

中立を保てない。このままでは霖之助さんに寄りかかってしまう。
道具も、服も、安らげる空間も、全部を預けてしまいそうになる。
巫女の私がそれを許さない。私はそれを許さない『巫女』の私を許したくない。

「危なかったよ。霊夢には大きな借りができてしまったな」
「様子を見にきたのよ」

そう。生きてるか死んでいるか。私はその様子を見に来たのだ。

「……本当に、無事に生きててよかったわ。霖之助さん」
「君はいつもどおり、当然のように無事そうで何よりだよ」
「当然よ。だって私は、博麗の巫女だもの」

私の心が、巫女であるということなんてどうでもよくなるくらい
それくらい真っ直ぐ、愚かに、おかしくなったとしたら、

その日はきっと、博麗霊夢の命日になるに違いない。


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