未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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求めよ、されば与えられん
修正前についた1つの拍手と、見てくれた方に深く感謝いたします。

リクエストに答えてみた『紫霖』の加筆修正です。
行動すれば何かがあるかもね、というお話になりました。
いつも霖之助の視点なので、たまには…ということで紫視点のつもりです。
あくまで、つもりです。あの得体の知れなさは文章にできません。


////////////////////

咲いた花が散り、しおれた花びらが舞いながら、新緑が垣間見える頃、
いつものように空間を繋げ、私は彼の店の前へと降り立った。
この店は心地よい。外の世界で失われたものの幾つかが、ここに辿り着いている。
外の世界にだってあるところにはあるし、ないところにはない。

この店に置いてある道具はどれも不用品ばかり。
行き場を失い、死に場所にすら不自由している。
そして、どれもが不純さを抱えている。

「生き物は死ねば無数の構成要素を幻想郷に還元していける。
だけど、壊れたファンヒーターが何を還元していけるというのかしら……」

私の見つめる先……店の裏手は、ようやく死ねた道具たちの埋葬所となっていた
死んでいる。どれもが、棺桶の釘のように死んでいる。
その数は、ここ数十年で明らかに増える一方だった。
ここにあるのは、その中でほんの一握りでしかない。


「ごきげんよう」
「いらっしゃ……やあ、珍しいですね」
「音を立てて店に入るのがですか?」
「はは、そういうわけではないですが」

店主である森近霖之助は私に対して、無理に笑って見せた。
誤魔化しているつもりなのだろうけど本当に判りやすい。
私はそんな彼が微笑ましいので、にっこり微笑んであげる。

「……今日はどのようなご用件で」

目をそらしたので、そっと視界の片隅に入るように回り込んであげる。
無視するに無視できない範囲で立っていると、チラチラとこちらを伺ってきた。
ああもう。我が家のお稲荷様も、これくらい可愛げがあるといいのだけど。

「裏手にあるもの」
「……を、どうなさりたいのですか?」
「いえ、別に」

どうにかしたいのは貴方でしょう、とは言わず、窓の外を見てじっと待つ。
もっと具体的に言えば、窓の反射で彼が逡巡しているのを眺めて。

「……どうにか処分したいのですが」
「はい、何とかしておきましたよ」

ようやく折れた。そろそろ飽きてきたので手早く片をつける。
コップを傾けて水を零すように。
手を伸ばして彼に触れる方が、よほど難しい。
1メートルもないこの距離を那由他より遠く感じる。

くだらない、と自分でも思う。
境界を自由に操れる私が、この境界を操作せずにいる。
だけど、くだらないものほど楽しいものだ。
幾重も理由を陳列すればもっともらしい説明もつくけれど
こういう時は、嫌なものは嫌、好きなものは好き、というに尽きる。

「さて、では提案があるのですが――」
「対価ですね。何ですか?」
「提案ですわ。散歩に行きませんか?」

つまり、私は好きでこうしている。



答えを聞かず、振り返らず、歩きやすそうな道をゆっくりと歩く。
数分もたたずに彼は私へ追いついてきた。とりあえずついてきたのだろう。
店の中からそのまま外へ出た、といった様子。

「いい天気ですね」
「そう、ですね」

それから、しばらく歩いた。目的があって歩いていたのではなくて
歩くのが目的なので、途中に何があっても構わない。

「……おや、髪の毛に何か」
「あら」

彼の手が髪に触れた。
行き場の無いファンヒーターを片付けたからこそ、こうなった。
作為は無い。無いけど、何か起こる。とても、無何有の郷らしい。


彼の肩越しに見えた、こちらを見て進路が滅裂になってる彼女らを含めて、ね。

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