未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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勝手に結ばれた糸
キスメとヤマメを間違えた自分に気づいてブルーでした。
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幻想卿の森の中に、たいそう流行らない古道具屋がありました。
そこにいる風変わりな主人は店を流行らせる気もなかったのですが
それでも何だかんだと言いながら人の立ち寄るみょん、もとい妙な店でした。

主人の森近霖之助は基本的に店に引篭もっていることの多い人間でしたが
知識欲が餓えだすたびに、無縁塚や里まで出かけて不思議な道具を捜し求めます。

ある時、地上にないものが地下にはあるという冒険譚を読んだ霖之助は、
すっかりその気になって洞窟探索を始めることにしました。
ところが洞窟なんて、その辺に転がっているわけでもないですし、
たとえ見つけたところで、貴重な道具や金銀財宝なんて見つかるわけがありません。

「なんたる失策であったことか!」

やがて、とある洞窟らしい洞窟を見つけて潜った霖之助は、はたと1つの結論に達します。
この幻想卿で洞窟にこもってるような妖怪は、たいそう危険に違いないと。
もし貴重な品やお宝を目にした所で、そんなものを持ち帰れる保証がないと。
ですが、潜りだした以上は自分の納得する形で終わろうと思った霖之助は、
そのまま少しだけ地下に進んでみました。まだ入り口に入ったばかりなのに。

そのうち霖之助はどんどん進みます。引き返すほどの難所が全然ないので帰れないのです。
なぜか風まで吹いてきて、やがてがらんと開けた場所に出ました。

「む…」
「どちらさま?」
「し、失礼!いろいろと間違えたようです!」

声が聞こえますが、どこから聞こえてくるのかさっぱりわかりません。
周りを見回しても、明かりの届く範囲には何もありません。
右を見ても、左を見ても、声しか聞こえてこないのです。

「まぁそう言わずにゆっくりしておいき。祭りは終わったけど、最近は地下もにぎやかでね」

声は、急いで引き返そうと思った霖之助の頭の上から聞こえてきました。
霖之助は大声こそ出しませんが、息を呑んで持ってたカンテラを掲げます。
そこには少女がいました。そして洞窟の天井から霖之助の後ろに落ちてきました。

「茶ぐらいは出すさ」
「いやそこまでは」
「いやそういわず……ねぇ」

後ずさる霖之助。その後ろ向きな歩数が4つを数えると、何かに引っかかりました。
糸です。動けば動くほど絡みつくような、まるで蜘蛛の巣のごとき糸です。
何とか逃げ出そうと体を動かしますが逆効果でますます身動きがとれなくなります。

「こ、これは――そうか!君は蜘蛛か!」
「あーあー引っかかっちゃって……」
「くっ……これまでか」
「エサになってくれんのかい?奇特な人だねえ」

くつくつと呆れ笑いをしながら糸を解いてくれる少女。
その姿を見て、ようやく霖之助は安心することが出来ました。


地下なのに、のんびりと茶を飲むとはこれいかに。


一服しながら、霖之助はここがどういった場所なのかを尋ねることにしました。
そして目の前の少女の名前なのか、どうしてこんなことになったのかを聞きました。
それと同じくらい……自分のことを喋らされて、笑われましたが。

最初こそおっかなびっくりな霖之助でしたが、喋れば楽しいものでした。
怒らせると好戦的なことが言葉の端々に見えていたので、気を使いましたが。

そして帰る段、去り際に霖之助は「ヒマならまたおいで」と言われました。
霖之助は「たぶん、むやみに洞窟には近寄らない。特に蜘蛛の巣がありそうなところは」と笑って言い返しました。


霖之助は、気づいていません。自分の服に1本だけ蜘蛛の糸がひっかかっていることに。
そしてそれを見送る蜘蛛――黒谷ヤマメが、面白いものを見つけた外見相応の表情をしてたことに。
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