未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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ある秋の光景 あるいは 妖精との契約
「りんのすけー」

チルノがやってきた。そろそろ涼しくなってきたのか最近は元気に拍車がかかっている。

「なんだい。氷付けにしたナマモノは買わないよ」
「ちぇ、じゃあいいや……じゃないよ。今日はちがうよ」

ポイ、と放り投げられたカエルが可愛そうなので、とりあえず水に漬けて溶かす。
今のところ蘇生率は半々くらいなので、後はこのカエルの運に祈るしかないだろう。
もっともチルノに氷付けにされる時点でカエルの運勢などお察しといったところだけど。

そんな作業をしながら、チルノが何をしにきたのか聞いてみた。

「どうしたんだい」
「あんね!湖凍らせようと思って、おおきい氷を平たく作ったら、しっかり浮いてんの!」

両手をぶんぶんと振ってオーバーアクション気味に状況を伝えてくれる。
どうやら平たい氷が水の上に綺麗に浮かんでいるので、上に乗って遊んでたようだ。
僕が以前、釣りに飽きて木の葉で帆掛け舟のようなものを作って流していたのを見て以来
ずっと対抗意識を燃やしていた彼女なりの成果なのだろう。

「それはすごいな。まだ残ってる?」
「消えないよ。だって、あたいがカチンカチンにしたから!」

ほう、と感嘆しておいてそのままの反応だとチルノはぐずったり暴れたりする。
それによる被害を考慮すれば、ちょっと見に行く手間など些細なものである。

「なるほど。これは中々……」
「りんのすけが乗っても割れないよ!あたいのだから丈夫だよ!」

行くと、確かに大きな氷が浮いていた。僕が自力でいかだを作ればこれくらいになるだろう。
ただ、乗っても平気だというチルノは飛んでいるのだから説得力が無いこと極まりない。

「もし割れたら勿体無いし、僕はズブ濡れになるから遠慮しておくよ」
「りんのすけは恐がりね。あたいの氷を見ただけなのにそれじゃあ、強くなれないよ!」
「強くなくてもいいんだよ」
「????」

チルノは、わけがわからない、といいたそうな顔をしていた。
彼女の価値観と僕の価値観はそぐわないものなのだろう。

「さて、見事な氷を見たし、僕は退散しよう。
 もっと冬になって大きくなったら乗せてもらおうかな」
「約束だよ!絶対だよ!」

僕はチルノとゆびきりをする。彼女の指は、細くてひんやりしていた。
小指を絡めてあの歌を口ずさめば、それが呪文となって契約となる。

「あのねあのね。草を凍らせてゴロゴロ転がると楽しいよ!」
「そうなのかい。僕は枯葉を踏むのが好きだな」

そんなことを喋って戻る、店への帰り道。
かえるが生きてるかどうかが、さしあたって僕の懸案だ。
なにせ夕飯になるか湖へ返すかの、どちらになるかわからないからだ。
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