未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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とある病の初期症状
地霊殿体験版で登場するヤマメさんの話。



あるところに一匹の土蜘蛛がおりました。
名前を黒谷ヤマメといいまして、洞窟の奥底だとか
元地獄の旧都だとか、そういう場所で過ごす妖怪です。

ヤマメは病気を操ります。ちょっとその気になれば誰かは熱を出しますし、
ちょっとその気になれば咳がとまらなくなったりします。

おかげさまで、ヤマメは誰からも嫌がられます。
話せば明るく楽しい妖怪なのですが、誰だって風邪はひきたくありません。
もっと怖い病気にかかるなんて、まっぴらごめんです。

そんなある日、ヤマメは洞窟の奥底から、少し浅い所に出ました。
というのも、氷か何かを探しに人間が奥底近くまでやってきたからです。

「それっ。つままえてやる」
「ひゃあ」

ヤマメはその糸で人間を捕まえようとしましたが、
人間だって捕まりたくはないので必死に逃げていきました。

ヤマメは人間を襲うことなんて普通のことだと思ってます。
どうしてそうなのかは、いちいち考えたりしません。


それからしばらくして、また別の男がやってきました。
さっきの人間がよこした応援か何かでしょうか?
とにかく、ヤマメはまた捕まえに行きます。

「こんどこそ!」
「そういわず、ちょっと待ちたまえ……うわっ。糸が」
「誰だろうと私の領域に入るのが悪いのさ」

男はあっさりと捕まってしまいました。
いざ捕まえてみると、どうやら半分は妖怪のようです。
だけど、ちっとも強そうじゃありませんし、肉や骨も硬そうです。
味はどうだかわかりませんが、おいしくはないでしょう。

「食べてもなあ」
「食べられるのは困るな」

捕まった男は、森近霖之助と名乗りました。
なんでも、道具を拾っては売るのを仕事にしているようなのです。

「そう、かんけいないね」
「そうでもないよ。君の糸は、たいしたものだ。そもそも虫が作る糸というものは――」

ヤマメはとりあえず、この口の達者な男を黙らせようと病気にしてみました。
熱にうなされて、口の回らなくなるような病気です。

「これはいったい何の真似だい?」
霖之助は、けろりとしています。

「むむ。それじゃあこれならどうだ」
あれこれ人間がかかりそうな病気になるように力をふるってみますが
霖之助はちっともこたえた様子はありません。

「半分くらい病気になったらどうなんだ」
「そういわれても」

霖之助は、よくわからないことばかり言ってくるので
そのうちヤマメの方が疲れてきました。

「つまり、いくらか君の糸を譲ってほしいんだよ」
「あーもー。好きにして……」
「それならさっそく……」
「ひゃっ」
「おっと、ごめんよ」

糸を巻き取る霖之助の手が触れて、ヤマメはドキドキしました。
食い殺してやろうかとも思いました、相手は病気に強いやつです。
うっかり食べたら、どんなことになるかわかったものではありません。

「また来るよ。対価を渡しにね」

あんまりこないで欲しいなあ、と思うヤマメでしたが
霖之助はそんなヤマメの反論を聞かずに、さっさと戻るのでありました。

ヤマメは、自分が思いのほか動揺していることがむかついて仕方がありません。

次の日、霖之助はお弁当をもってきて、また糸を持っていきました。
別の日も、そのまた別の日も、お弁当を持ってきては糸を持っていきました。
そのうちヤマメは、霖之助がどうして糸を集めるのか、すっかり気になってきました。

いちど気になると、ずっと考え込んでしまいます。
なにせ自分の糸なのです。気にならないわけがありません。
寝ても覚めても、心のどこかでいつも気にするようになりました。

ですが、こういうときに限って霖之助は中々やってきません。
ヤマメは何だか、どうしようもなくイライラしてきました。

まだ、彼女は気付いていなかったのです。
病気を操る能力を持つ自分が、別の病におかされつつあることに……

この記事に対するコメント
本当にありそう
ヤマメ話、見させてもらいました。なんとなくですけど日本昔話とかで見たような感じがして、よかったです。
【2008/07/15 23:29】 URL | メガミッション #- [ 編集]


昔話っぽいのを読んだ後だったので思い切り影響されました。
読んでいただきありがとうございます。
こんな不定期更新サイトですが、よろしくお願いします。
【2008/07/17 20:33】 URL | ぽんこつたぬき #SFo5/nok [ 編集]


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