未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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プレインスマイル2
試しに書式を直してみる。見やすいのか読みにくいのか、判断に困ってしまいます。
なおタイトルからもお察しいただけますように、プレインスマイルの続きとなっております。
どこかで見た展開だと自分でも思いますが、中々ありがちな状況からは脱却できません。
……というわけで寛大な心で作品を読んでいただければ幸いです。


 上白沢慧音の住まいは里の中では外側に位置している。これは差別というより、単純に土地が無いという理由によるものだろう。実際、彼女の寺子屋まで不便があるような距離ではなかったし、僕にとって街中にまでわざわざ出向かずに済むのはむしろ好都合であった。

「よく来たな」
「来いといったのは君だろうに」

 よほど退屈していたのか、茶と饅頭を出してくる彼女はどこか機嫌がよさそうに思えた。普段は無断拝借されてばかりの茶を振舞われると、何だか不思議な気分になる。僕の中で、お茶というのは自分で飲むか飲まれるかのどちらかとなっていたのだ。

「べ、別にお前が来たからっていうわけじゃないからな。偶然だ、偶然!」
「いずれにせよありがたいことだ」

 あの森の中では甘味にありつくことは、滅多にない。もし手に入れたとしても絶妙なタイミングで博麗神社に奉納させられてしまうだろう。より具体的には、そこの巫女に食われるのだが。

「さて、一息ついたら手伝ってもらうぞ?霖之助」

 にこりと笑う慧音の言葉には嫌な感じがしない。むしろ距離が近い印象すら受ける。本来の仕事を思い出した僕は、荷物を降ろして彼女の指示に従うことにした。

「それで僕に何をさせようって?」
「ん?先生だ」




「……慧音先生の手伝いをすることになった森近霖之助です。よろしくお願いします」

 こんなに大勢の人間を前に何かを喋るというのは、どれくらい前の話だろう?そんなことを考えながら、僕は少年少女たちの衆目に晒されていた。

 慧音の寺子屋には想像していたよりも多くの子供たちがいた。彼女の話によれば、最初は教育の必要性を感じない人ばかりで不評だったようである。しかし、次第に数が増えてきて、今ではそれなりの人数が集まるようになったらしい。

 子供たちの反応は、見慣れぬものを見るときの警戒感からくるもので、僕の外見や素性に対して恐怖している、などというような類のものではなかった。慧音の生徒である彼らには、かつて里に蔓延していた畏怖心など初めから無いものになっているのだ。

「こちらの森近先生は、今日一日私の代わりに勉強を教えてくれるそうだ」
「もっとも、慧音先生とはやり方が違うかもしれないけどね」

 子供たちはそれぞれ、互いに顔を見合わせたり小声で何かを囁きあっている。やはり見慣れぬ輩がいきなり湧いて出るというのは彼らの好奇心を大いにくすぐることだろう、と僕は思った。もし座ってるのが僕だったら、あれこれと質問したことで頭が一杯になるかもしれない。あるいは何か生意気な口でもきいているのかもしれない。

 そして授業が始まった。
 いくら優れた教本があろうと、それを活かせる教師の存在を無くして物事を覚えられる者は少ない。その例に漏れず、この子供たちは慧音という教師により僕が考えている以上に豊富な知識を持っていた。
 
 借りてきた猫、とでも表現してあげるのがいいのだろうか?彼らの教わる態度というのは、少なくとも午前中に関して言えば、まったく問題はなさそうに思えた。

「手を焼くとは思えないが。もちろん、今の所……だが」

 間に休憩を挟み、息抜きがてらに僕は慧音に率直な感想を語った。

「適度な緊張感があるのが功を奏しているのだろうけどね」
「それで十分だ。どうも時々私の説明は空回りするようでな……それに」
「それに?」
「お前、教師に向いてるんじゃないか?」

 馬鹿をいうな、と笑い飛ばしておく。僕が求める知識と子供たちに必要な知識では方向性がまったく違うのだ。畑を耕すのに刀を使わないように、僕の知識では子供たちには何も与えることは出来ないだろう。


「もりちかせんせえ」
「そもそもだね……うん、なんだい?」

 持論を展開しようとしたところで子供の1人に声をかけられた。前から二列目に座っていた男の子だ。

「せんせえとけーねせんせえはけっこんしてるの?」
「……いや、そんなことはないが」

 僕は目の前の子供の、あまりに飛躍した自由すぎる発想に眩暈を覚える。結婚?どこをどうとればそういう発想に至るのか。そのことについて検討すべき余地がいくらか残されているように思えてならない。

「ほ、ほら、森近先生を困らせるんじゃない。もうすぐ授業が始まるから席につきなさい。座らないと頭突きだぞ」
「わーっ、ごめんなさいごめんなさい」

 固まっている僕を見かねたのか、慧音が助け舟を出してくれた。なるほど、いつもこんな調子なのだろうとよくわかるやり取りだ。あまり見せたくなかった光景だからなのか、慧音の顔は恥かしそうで赤くなっていた。

「な、何をいってるんだろうな子供たちは。あは、あははは」
「さあ、ねえ…………その、授業、始めようか」
「……ああ。そうしてくれ」

 その後の授業は子供たちが僕に慣れてしまったのか、関係ない質問攻めにあってしまう。あの閑古鳥の無く店がこれほど恋しくなるのは、自分でも驚きだ。

「勘弁してくれ」

 僕はそう、子供たちに聞こえないように嘆いた。

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