未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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プレインスマイル
リクエストに答えるべくツンデレに挑戦してみた……のですが。です、が。
これでもいいのかなぁ、と悩んでしまうところです。題名は、プレインエイジアから。



お前は妖怪じゃない、と彼女は言う。
だが人間でもない、と言ったのは誰だったか、今はもう記憶の彼方だ。


それから何年か過ぎて、昔々というには少し短い程度の時間が流れ、
未だに僕は妖怪に混じることも人里に戻ることもせず、森の中に1人で住んでいる。
定期的に訪れてくれる固定客や、客まがいの何かには恵まれるようになったが
だからといって何か大きな変化があったかといえばそうでもない。

ここは雨が降ろうと槍が降ろうと、店主である僕の気分次第で営業する香霖堂。
今日は人里から彼女――上白沢慧音がやってくる日だ。

「まだ生きてるか?」
「ご親切に」

別段取り繕う必要も無いので、僕はいつもどおりに過ごして彼女を出迎えた。
里で寺子屋を開きながら人と共にあり続ける彼女は幸せなのだろうか?
短く返事をしながらそんな考えるが、ずっと僕はその問いを聞きそびれたままだ。

妖怪が表立って派手に人間を襲わなくなってから、里の人々も随分と寛容になった。
村を囲んでいた物々しい柵や堀なんかは今となっては見る影もない。
もちろん、人間以外が村八分や追放されるようなことなんかも、ない。

「村の方は、もう暫くしたら祭りだよ。子供たちの話題もそれで持ちきりだ」
「目に浮かぶよ。だけど別に子供に限った話じゃないだろ?」

人里の祭りは例大祭などといった神事と絡んだ要素は薄くなってしまっている。
もちろん元を辿れば儀式だが、時間がそれを形骸化させたのだ。
良いとも悪いともいえない。そういうものだ、と受け入れざるを得ないのだ。

「しかしマメだね。こうして僕の様子を見にくるというのも」
「私は里の守護者だからな。それに……」
「いや、よくやってるよ」

本心だった。
彼女は何かと理由を作っては、僕の店に足を運んであれこれと里の様子を話していく。
そこまでする必要性というのも今となっては喪失するくらいの時間は経過していた。
里の祭が形骸化するよりも、僕に対しての興味を喪失するほうがずっと早い。

昔から、彼女は生真面目で勉強熱心な方だった。
だが反面、詰めが甘く、どこかいい加減で自己完結しがちな面がある。
似たもの同士、というのはあまりに安直だが、僕はどこか共感を覚えていた。
一人で勝手に突っ走り、独りになってしまうあたりも含めて。

「そ、そうか」
「ああ。大したものだよ」

そこで互いに話が途切れた。当たり前だ。積もるほどの話も無い。
僕は立ち上がって、村の連中によろしく、とだけ言って掃除を始めた。
帰ってくれ。つまりは、そういうことを糖衣に包んだ表現で伝えたつもりだった。
だが彼女が帰る様子は無い。何か言うべき言葉を探しているのだろう。

やがて、彼女はこう言ってきた。

「なあ霖之助、寺子屋のことなんだが」
「……なんだい」

慧音は手を後ろで組んでいる。
昔からのクセで、彼女は緊張したりウソをつくと、いつもこうだ。

「その、少しで良いんだが……授業を、だな、手伝ってくれないか……?
 きっと子供たちも、喜ぶだろうし」
「だが僕は……」
「なあ、いいだろう?べ、別に無理にって訳じゃないんだ。
 ただ最近、子供たちのやる気が、だな」

僕はこの流れを何度か経験したので知っている。
ここで断った時の彼女は、最終的にキレるか泣くか、あるいはその両方かだ。
いずれにせよ御免こうむるので、僕はこう答えることにした。

「わかったよ……明日か明後日にでも行けばいいかい?」

クライシスを回避すると、彼女は笑顔になる。
まったく、こういうところは昔と変わらない。それに――

「ホントだぞ!絶対だからな!」

僕は、この笑顔には、あまり変わって欲しくない。

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