未確認歩行物体
東方香霖堂などが好きなケダモノの住処
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パソコン。
私にはパソコンという式を2つ操っているんですが、片方の式が落ちました。
具体的な話をすると、HDDのデータが壊れたというわけです。

ついでに私の残機が減りました。

再インストールには長い時間がかかることでしょう。やれやれ。
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専門外


今日も今日とて店を開ける。
明かりが中に入り込むと、雑然とした店内を浮かび上がらせる。
外の世界から流れ込んだ道具が所在なさげに店の随所に点在していた。
幻想卿の人間には用途も使い方もよくわからない。
店主には用途はわかるが、使い方はわからない。そんな道具たちだ。
それらは今日も幻想の時間の中にある。

道具たちは幻想の時間の中にあるとはいえ、ざっくりと割り切れば今の時間帯は朝だ。
道具はそこにあるだけでかまわないが、店主に目を移せばそうはいかない。
そういうわけで朝飯もそこそこに、一応の回転準備に取り掛かったわけなのだが――

「おはよう」

木戸を開けてみると店の前で待っていたのか、少女が店主へ明るい声で挨拶をしてきた。
声をかけられた店主…森近霖之助は、ぽかんと口を開けてその声の主を見つめている。
少女の名は河城にとり。種族は妖怪、もっと細かく言えば河に住む河童で、エンジニアだ。

「あ、ああ。だがいつも通りだ。早くもないよ」
「知ってるよ。挨拶さ」

霖之助はにとりにぎこちない返事を返すと、何事もなかったかのように準備を続けた。
とはいえ木戸を開いてしまえば、あとは暇つぶし用の本と帳簿を持ってきて完了なのだが。

「……いらっしゃいませ」
「そういわれる前から、目の前に私はいるじゃないか」

笑いながらそういいながら店の中の品をあれこれ見て回るにとり。
その興味の対象はからくりというか、工業品であることが多かった。
霖之助は名前はわかるが使い道はわからない。にとりは分解して構造を解析する。
互いに助け合えば互いのためになる、ということで彼女は最近香霖堂によく訪れていた。


こうなった経緯は、そもそもが妖怪の山に出来たという神社へ出向こうとしたことにある。
途中で何やら視線を感じるので周囲を見回すと『光学迷彩。用途:姿を隠す』と出た霖之助。

「こんな素晴らしい道具が世の中にはあるのか。驚いた」

などと暢気に感心して褒め称えたものだから、着ていた河童のにとりも気をよくしたのだ。
互いに害意が無いどころか好意から会話を始めれば、打ち解けるのも容易い。
霖之助が半分妖怪で魔理沙の知り合いであったことも手伝って、今ではにとりも常連である。

にとりはエンジニア故に、外の世界の技術には大きな興味を示した。
もちろん理解できない道具も多かったが、理解した機構はにとりの開発に役立った。
霖之助はにとりに道具を売りつける、という形で材料や技術を提供したし
用途と名前がわかる、という霖之助本来の力がにとりの構造解析の最初の一歩を支えていた。

「――というわけで、これは蒸気の力を利用した高度な機関を簡略化した玩具じゃないかな」
「なるほど、そう考えれば合点が行く。つまり力を蓄えるのではなく、この部分こそが……」
「その解釈は……」
「……しかし、これが捨てられていたとなると既にこの技術は……」

そこから突拍子も無い政治経済まで話を飛躍させていくのが霖之助で、
あくまでも、そこから何が作れるか、という技術を追求していくのがにとりであった。


だが、ある時からにとりは物憂げになっていった。
霖之助が聞くと、どうやら1人でなにか作ろうと思ったらしいが上手くいかなかった様だった。

「なんだろうね。楽しいんだけど物足りないというか」
「外の技術に触れすぎて整理がつかない可能性は?」
「どうかね。そうかも?」

霖之助は彼女を純粋に気の毒で、何とかしてあげたい思った。
なまじ近かった存在であるが故に、その苦しみを僅かながら理解したからだ。

「少し出かけてみるとか、そういうのはどうだい」
「一緒に行く?」
「歩いていける場所ならね」

にとりは笑った。笑ってからしばらくして、自分が笑っていることに気がついた。

それから2人で色々なところを2、3箇所出歩いているうちに、すっかり
歯車が上手くかみ合った様で、他愛も無い会話をできる程に本調子へと戻っていった。

「うん。帰ってもう1回、作りたいものを作ってみるよ」
「それは良い。出来たら見せてくれ」
「でも不思議だねぇ?喋っただけで、こうも楽になるなんて」

霖之助は冗談交じりにこう言った。
「自分の心をを分解してみたらどうだい?案外、その理由がわかるかもしれないよ」
にとりはそれから霖之助に聞こえないように「――何となく、判ってる」と言った。
霖之助が『何か言ったかい?』と尋ねるが、にとりは答えず走り出した。

そして少しは距離をとると、振り返ってとびきりの笑顔でこう言ったのだ。

「心は専門外!」

負け戦
もののあはれについて学んだ気がしました。

>椛かわいいよ椛ww 特に尻尾がフリフリしてるのがwww
なんという小動物でしょう…いやあ椛かわいいですよね。
雑記
以前霖之助スレに落っことしてきたのを回収しました。
感想がもらえることが何よりの励みですね。このたぬき、ストイックにはなれませぬ。



>なんて素敵な藍霖!!ありがとうございます!感激です!いやぁたぬきさん最高!by太陽
そう仰っていただけると書いた甲斐もあるというものです。
ブログに掲載してる以上、延々と長いのを書くと読みづらい、というのが1点
それから書きあがるのに時間がかかる、というのが1点ありまして
他の多くの作品がそうであるように、不足気味なボリュームになっています。
ご期待に添えられるようでしたら幸いです。



コミケで出したコピ本ですら1週間かけて10ページ前後だったはず…
いつか書き直してクーリエとかにアップしようかなあ。
再掲2:音
夕立。気持ちよいくらいに降りしきる雨と、雷。
そんなときに訪れる客は、珍しい顔だった。

「いらっしゃい……見ない顔、でもないけど、天狗が何の御用で?」

雨に濡れた子犬を想像できるだろうか?
保護欲をかきたてる、アレである。
もっとも、白狼天狗相手にそんな想像をするのは失礼かもしれないが。

「将棋以外に何ぞ暇つぶしはないかとぼやいていたら、射命丸様に紹介されまして」
「ふむ……失礼ですが、お名前を伺っても?」
「犬走椛と申します。今日は非番になったのでこちらに出向いたので……っちゅん」
「……とりあえ手ぬぐいを持ってくるから拭くといい」
「はい……」

ぱたんと倒れた耳といい尻尾といい、何とも動物的な天狗である。
彼女が体を拭いている間に、僕は適当に遊具とされる類を引っ張り出してみた。
平安時代のすごろくを筆頭に、よくわからないボードゲームや札遊びの類である。

「こんなところだけど、いずれも人間の道具でね。君らの好みに合うかどうか」
「うーん……どれも繰り返し遊ぶには向いてなさそうですね」
「繰り返し遊んでもいいですが、限界はありますね」

古いすごろくに興味を示したものの、他はいま一つといった感想のようだ。

「そういえば普段は何を?」
「大将棋です。駒の数が多いので時間はいくらでも潰せてるんですが……」

囲碁を勧めてみたが、どうも盤面を広くしすぎて混沌とするのだという。

「互いに際限なく続けるので、そのうち石が足りなくなるんですよね」
「……こう、将棋の縛りを厳しくしてみるのはどうです?駒を落とすとか」
「やってないとでも?」
「いや……」

すごろく以外を元の場所に戻しておいて別の趣味を提案してみる。
とはいえ自分も多趣味な方ではないので提案には限界があった。

「例えば?」
「読書でも散歩でも植物の栽培でも……」
「……こう、失礼な物言いで申し訳ないのですが……枯れてません?」
「たまに言われるよ」

沈黙。外の雨音とあいまって、何ともいえない空気が漂う。
年中将棋を指してる天狗に言われると釈然としないのは偽らざる気持ちだが
見た目としては目の前の天狗の方が若々しく見えるのでやむを得ないことだろう。

「でも、将棋以外の何かを探すのはいいかもしれません」
「読書に関しては競争率が高いから、刺激的かもしれない」
「そうなんですか?」
「貴重な本を溜め込むころには、元気な魔女が強襲してくると思うよ」

なんですかそれは、と食いついてくる。冗談の通じにくい真面目な子なのだろう。
試してからの楽しみにするといい、とだけ付け加えて、すごろくも戻そうとする。

そのとき――雷音が、とどろいた。

「きゃあああ!?」

近くに落ちたらしく、店が震えるほどの音が通り抜けていく。
なるほど、音というのは空気の振動であるのだな、などと思っていた僕だったが
そういう風に現実から目をそらすのにはわけがあって、具体的に言うならば
目の前の天狗――犬走椛がしがみついて震えている。

「……ぁ」
「雷は苦手かい?」
「いえ、その、音がですね……」

あれこれ言い訳をはじめる天狗だが、いかにも苦しい。
というか、本当に暑苦しい。意外と彼女は体温が高いようだ。

「だから、その……」
「わかったよ。ところで、そろそろ離してくれるとありがたいのだが」
「はい……」

雨はまだ降り続いているが、随分と小降りになっていた。
彼女はこちらをチラチラと伺ってくる。何か思うことがあったのか、尻尾が露骨に動いていた。

結局、雨がやむまで会話も無く二人で過ごして、雨が上がると同時に彼女は山へ帰っていった。
また一人で本を読む僕の鼻を、かすかな残り香がくすぐっていく。
雨の香りか、あるいは彼女の香りか、その両方なのか。よくわからない。

一つだけ確かなのは、今日も香霖堂の売り上げが無かったということだ。

再掲1:風鈴
ファイル名はWho霖.txt …すごくどうでもいいですね。


――りん

どこからともなく風鈴の音が聞こえてくる。


夏日と言って差し支えないような暑い日差し。
森を抜けて風が吹けば涼むことも出来るだろうが、そうそう都合よく吹いては来ない。
ときどき、風と呼ぶのも憚られるような空気の流れはあるのだが。

――ちりん

どこからともなく風鈴の音が聞こえてくる。


自分の手のひらの汗で本が湿気るような気さえする熱量の中
普段の服装でいることなど、馬鹿か暑さ知らずの者がやることだ。
こういうときは薄くゆったりとした服装で時が過ぎるのを待つに限る。
あるいは倉庫の中を掃除して汗だくになった後で
いさぎよく井戸水を浴びるのもいいかもしれない。

そんなことを考えてはみるものの、動く気にはならなかった。
時間は山のようにあるのだし、今すぐに何かする必要性など感じられない。
このうだるような空気のおかげで、全ての熱意は温度の中へと埋没している。


――ちりんちりん

どこからともなく風鈴の音が聞こえてくる。


「……風鈴?」

独りごちて、あたりを見回した。
風は吹いていないのに、風鈴をぶらさげた記憶もないのに
どこからともなく、あの涼しげな音だけは聞こえてくる。

目を動かし、視界にとらえられない。
続いて首を動かしてみるが、まだ視界にとらえられない。
立ち上がって周囲を見回してみるが、そのようなものはどこにもない。
ただ、音だけが聞こえてくる。

「音は聞こえども姿は無し――か。さて、どこで鳴っているのやら」

好奇心がくすぐられたので、立ち上がって店の外に出てみた。
暑さは気にならない。風は吹いていないのに、音だけは鳴り続ける。
右から聞こえたので店の右手に回る。
するともっと右から聞こえてきたので、さらに右手に回る。
それを、さらに二回。店を一周したところで、もう一度耳を済ませた。

――りん

店の中から、風鈴の音が聞こえてきた。

「物の怪の類かな?最近、風鈴そのものを拾った記憶はないのだけど」
せいぜいが祭器らしい銅鐸だ。もちろん、直後に八雲紫が持って行ったが。

……八雲紫。その名前を思い出して、僕は風鈴の音と彼女を重ねていた。
状況は似ている。彼女はそもそも認識できる範囲の外から現れる。
そして、追いかけようとしてもすぐに消えてしまうのだ。

「――お邪魔しています。今日は、とても暑いですわね」
はたして、そこにいたのはまさに八雲紫そのものであった。
とても暑いと言ってのける彼女は汗一つかいているように見えない。
いつも通りといえばいつも通りである。

「暑いですね。……どうも、先ほどから風鈴の音が気になりましてね」
「もちろん、私の仕業です」

何のために、と口にするのはたやすいが、言った所で教えてはもらえまい。

「暑いので、少しでも涼んでいただこうかと」
「風流なのは結構ですが、その手元の扇であおいで頂いた方が幾らか涼しくなりそうですね」

あいかわらず心の中まで見透かしてきたような一言だ。
僕にしてみれば、扇であおいでもらうよりもよほど涼しくなる話だ。

「ふふふ。先日持っていった品の対価をお持ちしましたわ」
「おや、それはご丁寧に」

できれば早々にお帰り願いたいのだが、何故か八雲紫は匙と硝子の器を取り出してきた。
硝子の器には白い粉状の何かが盛られていて、さながら盛り塩のような様相を呈している。
そこに小さな器から、水のような何かをかけて、こちらへと器を持って近寄ってきた。

「ん、これは……かき氷?」
「即物的なあなたには、こちらの方が良さそうですからね。はいどうぞ」

匙に乗せられた氷が僕へむかって差し出されている。食えということだろう。
どんな味がするのか想像できないし、いまの氷はどこから出したのかもわからなかったが
そんなことを些事にしてしまえるほどに、匙の上の氷は輝いて見えた。

口にしてみる。甘い。どうやらあの水のようなものは、砂糖水の類らしかった。
氷は僕の熱ですぐにとけて、僕はその氷だったものを飲み込んだ。
冷たい。僕がいま一番求めていた類のものだ。

「かけたのは甘露ですわ。こういう日には冷たいものが何よりですわね。
 ……ご存知ですか?ここまで細かく削る前は、氷の塊を人が刃物で削ったのを」

そういいながら八雲紫も匙で氷を掬って食べていた。意外と手の動きが早い。
僕には一口だけ食べさせて、あとは全部自分で食べてしまうのだろうか。

「はい、あとはどうぞ」
「……ふぉうもひゅいまふぇん(どうもすいません)」

そんなことはなかったようで、匙と器を渡してくれる。
僕はお礼を言いながら、せっかくなので溶けてしまう前に書き込んでおいた。

「そうそう、そんなに食べると」
「ッ!?」
「ほら、そんな風に頭が痛くなりますわよ。ですが、ほんの二、三分でおさまります」

口元を扇子で抑えているが、明らかに笑っているのが見て取れた。
最初からこれが狙いだったのかと邪推の一つもしたくなるが、もはや後の祭りである。

「座ってゆっくりどうぞ?」
「……。」

黙々と食べる。してやられてしまったが、確かに美味しいかき氷だ。


――ちりん

ふと、僕の後ろで風鈴の音がした。
続いて僕に風が吹いてくる。もっとも、風も、風鈴の音も、彼女の手元からであるが。

「……それに風鈴をぶらさげますか」
「非売品ですし、構わないでしょう?こんな可愛い『ひひいろかね』の剣ですものね」
「……。」
「風もご所望でしょう?天狗の団扇とまではいきませんが、私の風をどうぞ」

どこまで知っているのだろう、と考えつつも僕の手は氷を掬うのに忙しかった。
色々とやめていただきたいところであるが、無碍に断ると後が怖い。
というか、大妖怪にここまでされると、そっちの方が恐ろしい。

結局のところ、僕が一番すずしくなったのは、
かき氷より、風鈴の音より、団扇の風よりも、彼女の存在だった。


――ちりりん。

彼女の鈴のような笑い声と共に、風鈴の音が聞こえてきた。

まったく、ぞっとする話である。

Sound Horizon
の、ライブチケットが指定席はあっさり完売しておりまして泣きました。
おそろしやー。

そろそろ以前霖之助スレに放り投げた作品をこちらに転載しようと思います。
なにやらゲームまで上がって凄いことになっていますね。
あちらで作品に感想をくれた皆様には感謝感激ですよ。

ちょっと今回のはタイミング悪かった気がしますが…

▼以下、拍手レス

>ダークナイト先行上映見ました。かなり深みのあるおもしろい映画でした。
>傑作なのでぜひ見てください!!SSいつも楽しみまってますよ~。
ありがとうございます。ジョーカーのいかれっぷりは大好きなので是非見たい所存。


狐と月見酒
リクエスト作品でーす。ご期待に添えられたらいいなあとは思いますが……



夜、店の中に入り込んでくる女性の客が一人。
その鮮やかな尻尾が、彼女が人間ではないことを物語っている。
「……こんばんは」
「いらっしゃいませ、といっても既に今日の営業は終了していますが」

店主である霖之助はその客に、皮肉とも冗談ともとれるような応対をする。
女性はその返答にくすりと微笑むと、そのまま入り口の扉を閉めた。

「お代の酒を持って参りました」
「これはどうも、ご丁寧に。しかしわざわざ夜に届けに来ていただかなくても」

言われた女性は恥かしそうに答えた。

「ひ、昼間は人の目が……」
「あるような店だったらいいのですが……そうでもないんですよね」

遠くを見つめて何ともいえない顔になる女性と霖之助。
どちらから話題を振ることなく、おずおずと女性が酒を注ぎだす。

「何とも、不思議な感じですが。私が酌をするというのも」
「いやまあ、されてる僕も不思議な感じですが。こうも美人に良くしてもらうことも無いので」

美人といわれるとまんざらでもない八雲藍である。
なんともくすぐったい様な感じで体をすくめてしまった。


と、こうなってしまったのにもちょっとしたいきさつがある。
八雲藍の式である橙が住むマヨヒガには幾つか小道具が置いてあるのだが
そのうち幾つかが、形あるものはいつか壊れるという理屈の如く壊れてしまったのだ。
壊れてしまっては代わりを用立てるか修繕せねばならず、そこで訪れたのが古道具屋というわけだった。

霖之助にしてみれば、相手が妖狐だろうと化け猫だろうと気にすることは無い。
むしろ真っ当に対価をしはらってくれるだけ上客に思えた。
要求も無理難題ではなく、むしろ解く意図する分野だったので、あっさりと代わりを用立てたのだ。

しかし妖怪相手に金銭を要求するというのは無理なことが多かったし
霖之助としても正直なところ、今は金銭より現物の方が嬉しかった。
金で満足いく食事を手に入れるのは、里に下りるだけ手間なのだ。

「では何でお支払いいたしましょうか。道具の一つでも持ってくればいいのでしょうか?」
「それもいいですが、何か食べ物かお酒でも頂戴したいところですね」
「では次の版にでもお酒をお持ちいたしましょう。何か肴も用意いたします」
「ありがたいゝ」


注がれた酒を飲み干していると、八雲藍は立ち上がった。
どこをどうやったのか、いつのまにやら割烹着に身を包んでいる。

「台所をお借りしても?」
「ええ、どうぞ?碌なものは残っていませんがね」
「どうとでもなるものです」

あれこれ要求しないだけ主よりも楽ですよ、と付け加え、八雲藍は台所に立った。
随分と上機嫌に油揚げやら野菜やらを取り出して、炒めているようである。

「うん、おいしい。 ……貴女ほどの人が誰かに仕えてるというのも凄い話ですね」
「強大な力を持つお方ですよ。店主殿もご存知のはず」
「僕も……?」

ぼんやりと妖怪と名の付くもので力の強そうなのを思い浮かべる。

「一人、思い当たる節が……」
「まだ名乗っておりませんでしたね。私は八雲藍。紫様の式にございます」

霖之助は自分の視界がぐにゃりと歪んだ気がした。
いや、実際に酔いが回ってきたのだろうが、それとは別の眩暈がする。

「どこまでも底知れないな……」
「うふふ。主ともども、よろしくお願いしますね。森近霖之助さま」

美味い肴に美味い酒。美しき妖怪に酌をされるのは悪くない。
毒をくらわば皿までも、という言葉もある。
今後のことについては後に回して、いま、この瞬間を堪能しよう。
そう決めて、やたらに美味い酒を流し込むのであった。

放り投げー
世間ではスカイ・クロラが始まっておりまして、大変興味があります。
ついでに、その次の週あたりにダークナイトがはじまるようで、こちらも大変興味があります。
楽しみです。

▼以下、拍手レス

>試験お疲れ様です!サイト間違えたかなと一瞬思ってしまった私を許してください。
>でも思ったのは最初だけであってむしろ見やすいと思いました!
>リクがありまして…藍霖…なんていかがでしょう…by太陽

リクエストありがとうございます。頑張って書きますね。
暫く更新をサボッたツケとして、明らかに文章力が落ちてます。
また2日に1回とか毎日、くらいの頻度で更新がんばるのでよろしくお願いします。

知性の低下がもたらす短絡的犯行
暑さで頭がどうにかなりそうな2人+被害者のお話


猛暑というわけでは無いが、それなりに暑い日々が続いていた。
僕にとって見れば暑ければ暑いなりに、寒ければ寒いなりに過ごすのだが
そうもいかない面々が多いのもまた幻想郷の一面である。
かくいう僕も不満を感じないわけではない。はっきりいって、寒さが恋しい。

「暑いぜ」
「言うな。わかってる」
「暑いぜ 暑いぜ 暑くて死ぬぜ」
「うるさい」

冷たい飲み物も無ければ涼しい風も吹いてくる気配が無い。
あるのはいつもどおりの売れない品と売りたくない品ばかりだ。

「酷いぜ。ここで属性を書き換える氷の魔法でも実験してみるかな……」
「自宅で試して成功したら、ここにも頼むよ」
「大丈夫だ。失敗したらここが氷漬けになるくらいだからな。熱いし二、三日もあれば消えるだろ」
「売り物がダメになったらどうしてくれるんだ」

建物に関しては、毎回誰かが来るたびに扉が吹き飛ばされる時期もあったので
正直な所、形あるものはいつか壊れる、という悟りの境地に近づいてしまった。
諦めたと言わないあたりが僕にとっての最後の意地だ。

「あー。チルノの奴でも連れてくるか」
「チルノ?」
「氷の妖精なんだよ。この時期でも湖にいるんだぜ」
「湖か……まあ、ここよりは涼しそうだな。いいよ。連れて来れば引き取るよ」
「この店はついに人身売買にまで手を出すのか?というか水撒くか。水。よろしく頼んだ」
「もし連れてきたら君は人攫いだ」
「妖精だぜ」
「変わらないな」

それで席を立ち井戸に向う程度には、僕の知性もいい具合に熱にやられている。
いずれにせよ不毛な言い合いでは気温は下がらない。変化を起すのはいつだって行動だ。
僕は躊躇わず井戸まで行っては水を店の前に散布していた。ついでに顔も洗った。
地下水の冷たさに僕の知性はようやく戻りつつある。まったく、恐ろしい暑さだ。

冷静さが戻ってくると魔理沙と相当に知性の無い会話をした記憶が蘇ってきた。
まあ、あんなたわごとを実行に移すほどの元気も残ってはいないだろう。
店の中に戻り、魔理沙の姿が影も形もないという現実を前にしても、僕はそう思っていた。


「……連れてきたぜ。なんか連れてこなくても良い気がしたけど」
「やだー!はーなーせー!」
「……お疲れ。」

現実はたわごとよりも酷かった。魔理沙はどこをどうしたのか、
縛られた妖精を連れて店に戻ってきた。彼女がチルノらしい。
なるほど、店にいるだけでひんやりとした空気が店を満たしていく。

僕はこの氷の妖精ににどうやって氷を作らせるかを考えていた。
それからついでに、どうやったら店の被害は最低限になるのかを。
制限時間は彼女が泣き出すまでだ。

とりあえず僕は、必死に彼女の喜びそうな食べ物の在り処を考えることにした。



プロフィール

ぽんこつたぬき

Author:ぽんこつたぬき
春が来たら冬眠から覚める獣。
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